3月3日 曇りのち晴れ
今日はひな祭り。
女の子の成長を祝う桃の節句です。
…と言っても、今はどうなのかしら?
楽しいテーマパークやイベントが沢山あるので
特別のワクワク感は、昔ほど無いのかも知れません。
雛人形のお顔も随分変わってきました。
“可愛い”お雛様がいっぱいです。
キラキラネームと関係があるのでしょうか?
私が子供の頃に飾っていたお人形を今の子供達が見たら
きっと“怖~い”と言うでしょう。
大正時代の母の雛人形なのですが
正直、私もちょっと怖かったのです。
真っ白な肌に切れ長の細い眼、小さな口元の奥に見える極々小さな白い歯
何とも云えぬその存在感に引き込まれながらも後ずさりしてしまうと云う
妙に不思議な感覚だったのを覚えています。
人形の作り手となった今、それらを作った昔の職人の技の凄さを改めて感じます。
胡粉の美しさ、切れ長の瞼のライン、すっきりとした鼻筋、綺麗な衣装
どれをとっても品のある格調高いお顔でした。
でもこれは、今だから言えるので、当時そんな事分かる筈もありません。
子供の私には最下段にいた「三人上戸」の方が興味がありました。
「泣き上戸」「怒り上戸」「笑い上戸」・・の三人。
お顔の色が他と違って少し赤みがあり、衣装も豪華ではありませんが
今にも声が聞こえてくるようで、泣き顔、怒り顔、笑い顔がとても面白かったのです。
ちょっとリアルでしたが・・・目線も近かった所為でしょうか
この三人はよく手に取って遊びました。(気兼ねなく遊べた・・が正しいかも!)
職人の遊び心が集約されていたのでしょう、きっと・・・。
<人の心を惹きつける人形>・・・<存在感のある人形>
私の人形作りのテーマですが
今思えば、幼い頃、何気なく眺めていた景色の中に、
僅かにその原点の欠片があったのかも知れません。