歌人【与謝野晶子】

5月8日 晴れ

2003年、新風舎から人形写真集を刊行しました。

 

「やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」

歌集「みだれ髪」に収録された情熱の歌人【与謝野晶子】の有名な短歌です。

ご存知の方もきっと多い筈。

【あつき血汐】はこの歌を具現化した作品です。

つま先立ちする姿は彼女の生き方そのものなのです。

明治という時代に堂々と歌い上げた斬新な作風に

現代の私達ですら、心がざわめきます。

高校時代からずっと心の片隅に住み続けていた女流歌人【与謝野晶子】を

川崎裕子人形写真集【夜想曲】の表紙にしました。

 

 

作品【あつき血汐】は、支え無し、つま先きだけで自立しています。

赤い縮緬古布に筆で直に短歌を書きました。

【厩戸皇子】【倭建命】以来、心奪われ、夢中で作り続けてきた人形達を

この表紙の元に集めてみました。

人形達の囁きに、ほんの少しでも耳を傾け、心を動かしていただければ幸いです。

 

 

2025年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

夢草紙

4月29日 晴れ

2002年に貴重な体験をさせて頂いたエピソードをご紹介したいと思います。

(以前にも1度ご紹介したかと思いますが・・・改めて・・・)

 

人形界に於いての大御所といえば、一番に名前が挙がるのが「辻村寿三郎」氏です。

NHK人形劇「新八犬伝」などで有名な日本を代表する「大先生」であります。

2023年、89歳でお亡くなりになりましたが

日本中で知らない人は誰一人いないでしょう。

氏の故郷である広島県三次市の歴史民俗資料館・辻村寿三郎人形館でも有名です。

三次市にお戻りになるまでは、東京人形町の工房で人形を作っておられました。

その工房は誰でも自由に見学ができ、制作中の人形を見ながら

先生と自由にお話ができるという、超レアな楽しい空間で、いつも賑わっていました。

人形についての貴重なお話を気軽にしてくださり、懐の深さ、温かさが感じられ、

大きな人間に包まれているような不思議な空間でもありました。

ファンの一人として、東京に行った時はなるべく訪れるようにしていました。

工房の奥には少し高くなった2~3畳ほどの小さな畳敷きの部屋があり

人形が数体展示されていて、時々、それら人形のパフォーマンスが行われたり

階段を上がった2階には、テレビで見覚えのある人形がズラリと並んでいて

その迫力にはいつも圧倒されるばかりでした。

ある時、結髪に関するお話をしてくださった後、帰り際に

「結髪するんなら、これ、使ってごらん」

と言って、髪用の黒い糸を少し分けてくださいました。

「えっ!・・この私に?」

見学者のひとりに過ぎない私に・・信じられませんでした。

まるで夢のよう!!

何という懐の深さ!!

正に奇跡!!

込み上げてくる人形への熱い想いと感謝とが入り混じった

言葉では形容しがたい幸福感に浸りながら、

心躍らせ、満ち足りた思いで帰路に着いたのを覚えています。

 

早速、その糸を使って「立て兵庫」を結い上げ

江戸の粋な姉御肌をイメージして、作品【夢草紙】を作り上げました。

<川崎裕子人形写真集【夜想曲】掲載作品>

 

残りの糸は今も大切に保管しています。

<辻村寿三郎氏から分けて戴いた貴重な髪用の黒糸>

 

 

 

 

2025年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

ミディ・ピレネArt Expo2001

4月24日 晴れ

縮緬貼りの新しい作品【浪漫】に取り組んでいた頃

2001年、某美術系出版社より海外出展のお声がけをいただきました。

それは、ロートレック生誕100年を記念した日仏の文化交流を目的とする

「ミディ・ピレネArt Expo 2001」という展示会でした。

(後援=トゥールーズ市、ロートレク美術館、フランス大使館 etc.・・・)

【浪漫】は縮緬古布、すが糸を使用した本格的な「和」作品で

母から譲り受けた生地で着物を縫い、

その着物姿から醸し出される日本女性の“はんなり”とした“ゆかしさ”を

静かな佇まいの中に表現した作品です。

着物が好きだった母のイメージと重なり、迷わず出品しました。

 

【浪漫】 川﨑裕子人形写真集【夜想曲】掲載作品

 

 

 

<名前が刻印された、ずっしりと重いメダルです。>

 

結果、フランスの方々にも深く共感していただき、【芸術大賞】をいただくことになり

母への感謝が自然と込み上げてきた思い出深い作品となりました。

これを機に、一層「和」の奥深さに引き込まれて行きました。

背景の文字は、書道家だった母に依頼して書いてもらったものです。

巻き物にしました。

 

 

2025年4月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

動く人形【三つ折れ+縮緬貼り人形】③

4月18日 晴れ

ちょこんと正座する姿が愛らしい、全長33cmの小振りの作品です。

頭にも小さな髷を“ちょこん”と付けました。

着物は、大正生まれの母が子供の頃に着ていた着物地で縫い上げました。

縮緬も当時の物を使用しています。

参考にしていただければ幸いです。

 

【三つ折れ人形】は江戸時代から続く技法です。

「正座」をするって、何とも日本的ではありませんか!

私達は昔から「ひな人形」をはじめ、幼き頃より人形を愛で、大切にしてきました。

長い歴史の中で、紡がれ受け継がれてきた“日本文化”を再認識するきっかけとなりました。

 

<川﨑裕子人形写真集【夜想曲】掲載作品>

 

 

2025年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

動く人形【球体関節人形】②

4月12日 晴れ

 

全長120cmの大きな球体関節人形です。

指の関節も動きます。

<川﨑裕子人形写真集【夜想曲】掲載作品

 

2000年、大阪心斎橋ギャラリーにて展示会を開催した時の作品です。

この頃は「三つ折れ球体関節」や「胴体2分割球体関節」などあらゆる動きを想定しながら

削っては組み立て、組み立ててはまた削りを繰り返し、毎日制作に没頭していました。

<この時間、実は至福の時なのです!!>

~他の作家さまもきっと共感してくださるのでは?~

 

動きを滑らかにする為の試行錯誤や制作工程の面白さが

「球体関節人形」の醍醐味なのかも知れません。

 

 

2025年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

動く人形【球体関節人形】①

4月6日 晴れ

新しい技法に挑戦する時のワクワク感は何物にも代え難く、本当に愉しいものです。

少し時間を戻しますが・・・当時制作していた作品をご紹介致します。

 

初めて作った【球体関節人形】です。全長50cm(1992~3年頃)

首、肩、肘、腰、膝、手首、足首、主要な関節がすべて自由に動き、多様なポージングが可能

更に、この様な小さな足でも支え(スタンド)無しでしっかり自立します。

今では当たり前のように多くの作家さんが作られていますが

当時は実に画期的で、作家魂を揺さぶる魅力的な技法でした。

「自立して、関節が自由に動く~っ!!」

思わず感嘆の声を上げるほど、完成時は新鮮な感動を覚えました。

「この感動を生徒にも味わってもらいたい!!」

早速、粘土協会の本部教室で特別講習を企画

講師資格を有する生徒に声をかけて希望者を募り、作り方を詳しく伝授しました。

 

<1994年「ひかりのくに」から出版された「紙ねんど人形」にも

この球体の埋め方をざっくりですが解説しています>

 

 

2025年4月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

次の時代へ

3月31日 晴れ

粘土人形の世界にもどんどん新しい技法が取り入れられ

驚くほどの速さで進化していきました。

各関節に球体を埋め込み、自由な動きを可能にする「球体関節人形」

縮緬を粘土の表面に貼り、柔らかさと温かみを醸し出す「縮緬貼り人形」

江戸時代から続く技法を取り入れた、膝を曲げて正座する「三つ折れ人形」

液状粘土を鋳型に流し、高温で焼成する磁器人形「ビスクドール」

液状粘土をレースに浸して焼成する磁器人形「レースドール」などなど・・・

すそ野の広がりと共に、各自がそれぞれ自分に合った技法で

【創作人形】という新しいジャンルを確固たるステージへと確立させていきました。

 

1999年、東京・六本木のストライプハウス美術館で行われた

ドール・フォーラム・ジャパン主催の「新世紀人形展」では

日本のみならず海外からも多くの作家が参加され、多種多様な人形が展示されました。

表現の多様性を目の当たりにし、「人形」が放つ、とてつもないエネルギーに

新時代への突入を直に感じ取ることができました。

 

そのエネルギーの源となる<情熱>と<探求心>を内包しつつ、

多くの作家が、己を磨き、修練を重ね、切磋琢磨しながら

【創作人形】を更なる高みへと押し上げていきました。

 

そして・・・

10年後の2009年、東京丸の内オアゾ 丸善本店4Fギャラリーで行われた

ドルスバラード主催、HAZEKIoffice企画の「世界創作人形展」では

再び欧米の人形作家が多数招かれ、日本の作家達との交流で、

言葉の壁を越えて共鳴しあい、理解を深め、「想い」をひとつにすることができました。

これら2つの展示会に参加させていただいたことは、私にとって、学びの多い有意義なものでした。

<それぞれの展示会に発行された冊子>

 

<海外作家作品のDM>

 

 

 

2025年3月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

最後の全国作品展

3月21日 晴れ

出品作品【ディオニュソス】ギリシャ神話より

川﨑裕子人形写真集【夜想曲】掲載作品

 

1996年、第6回が最後の全国作品展となりました。

初出品した【倭建命】から11年が経過していました。

新大阪の大会場で、全国から集まった沢山の人形を初めて見た時の驚きが思い出され

感慨深く、胸に迫るものがありました。

また、協会本部教室も終了となり、粘土人形黎明期の大きな波を越え

次の時代へと進む新しい変化を肌で感じる事となりました。

 

 

2025年3月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

大地シリーズ

3月9日 晴れ

「都会の喧騒から遠く離れた母なる大地に想いを寄せるとき、

連綿と受け継がれた生命の歴史に畏敬の念を抱きます。

じっと見続けてきた太陽のように、生命を守りつぐのが女と思うのです。」

 

 

1994年刊行「ひかりのくに」出版【紙ねんど人形】より

 

当時、「ひかりのくに」出版から多数の粘土関係本が発行されていました。

これは、その中の1冊に掲載された作品【落日のナイル】【モロッコの微風】

に添えた私のコメントです。

女性の逞しさ、芯の強さを表現しました。

 

これら大地シリーズは全て油絵の具を使用しています。

作品のテーマに合わせ、絵の具選びはとても大切だと思っています。

「レリーフ」の背景にはサンドマチエール(画材用の砂)を使用し

絵の具と混ぜ合わせ立体感を持たせました。

油絵の具ならではの試みです。

参考にしていただければ幸いです。

 

2025年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko

【熱砂】

2月23日  晴れ

固定ポーズ人形の醍醐味を堪能した作品です。

迫力を持たせるために初めて油絵具を使用しました。

【華麗なる誘い】と同じ1994年の同展出品作品です。

嘗てないスピードで、一気に作り上げたのを覚えています。

「ゾーン」に入っていたかも・・・!!

 

2025年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : yuko