情熱の歌人

12月25日 晴れ

先日、作家仲間の友人、小峰恵子さんが素敵な小冊子を送ってくれました。

私が「与謝野晶子好き」なのを知ってくれていたので

今月初め、彼女がご主人様と共に大阪堺市の妖怪イベントに参加した折

同市出身の与謝野晶子の記念館に訪れて、わざわざ送ってくれたのです。

ありがとう!!

ほんとに感謝です!!

同時に、とても懐かしく思いました。

なぜなら・・・

高校時代、現国の授業で「与謝野晶子」を学んで以来

晶子は私の心にず~っと住み続けていたからです。

そして・・・

人形の世界に入ってから、歌を立体化し、具現化してきたからです。

晶子のほとばしる情熱を目に見える形に置き換えてきたのです。

 

この歌は有名な歌集【みだれ髪】に収録されています。

晶子らしい歌ですね~。

(エアブラシを使用しました)

今思うと、まだまだ未熟で稚拙なレリーフですが

若さと勢いで、歌に思いを乗せて作ったのを思い出します。

他にも、「本屋の人形展」に出品した「金色の舞」など

銀杏を擬人化したレリーフも作りました。

レリーフは絵画的に表現ができる楽しい技法です。

そして・・・

有名な歌集【みだれ髪】から

晶子が鉄幹に思いをぶつけた最も熱い歌を具現化した「あつき血汐」を作り

作品集の表紙にしました。

【あつき血汐】作品集表紙

つま先のみで立っています。

支えはありません。

赤い布は柔らかな縮緬です。

(バランス良く作れば当然の理なのです)

 

(作品集より)

<支えなしでつま先立ちするポーズは正に晶子の生き方そのもの>

20年ほど前の懐かしい想いが甦ってきます。

 

「厩戸皇子」がきっかけでのめり込んだ「人形の世界」

なんと魅惑的で、不可思議で、心揺さぶる深淵な世界なのでしょう!!

この魔力から抜け出るのは容易ではありません。

抗わず、自然体で、まだ暫くはこの身を委ねることに致しましょう!!

【厩戸皇子】 人形を作り始めた頃、沼落ちを決定づけた作品です。

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来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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恋ごころ

4月3日 曇り時々雨

届けたい!!

届かない・・・・

 

伝えたい!!

伝えられない・・・・

 

風に舞う花びらは

遠い昔の

甘酸っぱい青春の欠片・・・・

 

作品集より【恋ごころ】<未発表写真>

 

作品集から

3月26日 雨

先日ご逝去された大俳優「宝田明」氏は

私の人形達に深く関心を寄せてくださっておりました。

(常々、とても光栄に存じておりました。感謝です!)

そこで・・・

手に持ってくださっている「夜想曲」川﨑裕子人形写真集から

人気の作品をご紹介させていただきます。

【のこり香】

<撮影=横山写真工芸社>

ポーズ人形は球体関節人形と違って、

頭に浮かんだポーズの一瞬を捉え

勢いに乗って一気に作り上げていきます。

その勢いこそが<ポーズ人形の醍醐味>なのです!

正に体力勝負。

う~ん!

気力、体力、共に

若かったのですねぇ~(笑)

 

祈り

4月23日 晴れ

<穏やかな日常が一日も早く戻りますように!!>

マイブーム「万葉集」

平成31年 4月4日 晴れ

新元号「令和」

日本らしい綺麗な響きで、なぜか落ち着きます。

むか~し読んだ「万葉集」を本棚から取り出し、久々に読み始めました。

密かに、マイブームが起こりそうな予感です。

 

古代のロマンにどっぷりとハマっていたむか~し、

粘土との衝撃的な出会いで一気に作り上げた「日出処の天子」や「ヤマトタケル」

その他にも、万葉集から「額田王」や「大海人皇子」も作っていました。

中でも容姿端麗で武勇にも優れていたという「大津皇子」をイメージした若武者【ますらを】は

百貨店での初個展の案内はがきにも使用

人形を作り始めて2年目でした。

怖いもの知らずだったのですねぇ~。

「万葉集」の素晴らしいところは、

身分に関係なく、名もない女性が思いのたけを素直に詠んだ歌も、

普通に載っているところでしょうか。

「詠み人知らず」としてレリーフにしました。

むか~しの懐かしい作品です。

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「隠された十字架」梅原猛氏

1月18日 晴れ

1月12日、哲学者で文化勲章受章者の梅原猛氏が93歳でお亡くなりになりました。

氏は独特の歴史観で日本文化を探求された方で、

特に聖徳太子と法隆寺の謎を見事に解き明かした「隠された十字架」は、当時大変話題になりました。

常識を覆す学説は衝撃的でした!一気にファンになり、講演も聞きに行きました。

丁度その頃、聖徳太子(厩戸皇子)を主人公にした、山岸涼子作「日出処の天子」が大ヒットしていて

厩戸の大ファンだった妹が「おもしろいよ~! 読む?」と言って持っている全巻を貸してくれました。

これもまた衝撃的でした!!

<はまりました・・・どっぷりと・・・厩戸に・・・!!>

 

その後、法隆寺には何度も何度も足を運びました。

聖徳太子とされる「救世観音」は春と秋、特別開扉されるのですが、

夢殿は薄暗く、あまりはっきり見ることが出来ませんでした。

ところが、ラッキーな事に、修理の為「救世観音」が夢殿から出るという機会に巡り合いました。

これは、布に巻かれた秘仏を夢殿から出したフェノロサ以来の事でした。

「救世観音」と「百済観音」2体並んで一般公開されました。

360度、全方向から間近に観ることができたのです。

その衝撃は今でも忘れることが出来ません。鳥肌が立ちました。

「救世観音」・・やはり体の後ろ半分が完全に欠落し空洞化され、光背は頭部に打ち付けられていたのです。

鬼気迫るその表情は「観音」ではなく「人」そのものでした!!

隣に立つ「百済観音」の流麗でしなやかな佇まいとは全く対照的でした。

梅原氏の学説に確信を得、まるで金縛りにあったかのように、その場から離れることができませんでした。

実際に、気が付けば4時間程、ずっとその場にいたのを覚えています。

 

~~「聖徳太子」<厩戸皇子>~~

その謎めいた存在に魅せられ、熱い思いを抱いていた時、粘土に出会いました。

そして、一気に<厩戸皇子>を作り上げました。

35年前の秋の事です。

 

「知の巨星」梅原猛氏の斬新な学説に影響を受けたひとりです。

本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。  合掌

 

 

人形作りの原点

8月4日 晴れ

京都市中京区にある京都国際マンガミュージアム(作家・荒俣宏氏:館長)にて

現在「山岸凉子」の原画展が開催されています。

昨日、ゆっくり時間をかけて、行ってきました。

(館内では海外の方も多く、英語の他に、フランス語やロシア語も聞かれました。)

 

「山岸凉子」と云えば・・・そう・・「日出処の天子」

厩戸王子(聖徳太子)を主人公にした壮大な歴史漫画の一大傑作です

KIMG0492

KIMG0491 (2冊、購入 素敵な画集です)

これは、絶対に見逃すわけにはいきません。

なぜなら、これこそが、私の人形作りの原点なのですから・・・。

当時、妹からいつも「厩戸王子・・厩戸王子・・」と連載中のストーリーの“凄さ”を

聞いていて、少なからず興味を持っていました。

そこへ、「読む?」と言って、1巻から纏めて“ど~ん”と貸してくれたのです。

<<<衝撃>>>・・ハマりました!!・・・どっぷりと・・・もう、止まりません!!

その頃、話題になっていた梅原猛氏の「隠された十字架」をはじめ

聖徳太子に関する本を読み漁り、何度も法隆寺に足を運び、

ついには岩波書店の「日本書紀」まで買ってしまうほど、夢中になってしまいました。

(日本書紀って結構おもしろいですよ・・余談ですが・・)

絵の美しさにも魅せられました。

繊細な線から生み出される微妙な心理描写も絶品でした。

そして・・・表紙を見ながら・・・見よう見まねで・・・

日出処天子

「厩戸王子」を一気に作り上げました。

道具など何も持っていません。

あるのは、台所の竹串とめん棒と割り箸とビニール袋・・それだけです。

でも、それで充分でした。

“彼”が立体となって目の前に現れたのですから・・・(思い込みが強すぎかも・・)

その後も夢中で作りました。

飛翔2

ページの隅に小さく載っていた「厩戸王子」を立体化。

人形作りを始めて2年目の展示会で発表した懐かしい作品です。

<すっかり人形作りに魅せられてしまった私>

<もう、誰も止められません>

気が付くと、勝手に手が動いて、粘土から人形が現れる・・・そんな感じでした。

「古事記」から「倭建命」も作りました。

これを機に、今まで知らなかった世界が一気に広がっていったのです。

倭建命

もし、山岸涼子さんの「日出処の天子」に出会っていなければ

今の私はいなかったかも知れません。

感慨深い思いでミュージアムを出ました。

照り付ける暑い日差しも、騒々しい蝉の声も

私を包み込むようなやさしい温かさに感じられました。

 

ただいま、人形達!

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ただいま・・・人形達!!

また戻ってきました。

ずっと待っていてくれたのですね。

ありがとう!!

押入れの棚にしまい込んでいた道具を久々に取り出し

初心者の頃を思い出しながら、作品作りを楽しみました。

最新作“オフィーリア”です。(ビスクドール)

6月の「シェークスピア展」にてお会いしましょう!!