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人形の再開
6月17日 晴れ
人形は私を待っていてくれました。
友人達も笑顔で迎えてくれました。
信じていてよかった!!
無我夢中で『命』と向き合った真剣勝負の数年間
今振り返れば、愛おしい時間でもありました。
最期に「ありがとう」と伝えました。
これからは、『天』から見ていてくださいね。
しまい込んでいた道具を取り出し
久しぶりに油土から顔原型を作り、夢中で手を動かしました。
そして、再スタート最初のビスクドール作品
【ハムレット】と【オフィーリア】が完成しました。
友人が「シエイクスピア没後400年記念祭」に
出展するように誘ってくれていたのです。
感謝しかありませんでした。
これを機に本格的な再開を決意し
2019年 京都で35周年の個展を開きました。
翌2020年、京都烏丸四条 大垣書店本店で開催された
第1回【本屋の人形展】に【ハムレット】と【オフィーリア】を出品しました。
【ハムレット】 「本屋の人形展」会場にて撮影
【オフィーリア】 案内はがきに使用していただきました。
座右の銘
6月14日 雨
ビスクドールへの新しい扉は、
夢に向かってゆっくりと確実に開いて行くかに思われました。
が・・・
人生はそれほど甘くはありません。
最大の試練が待ち受けていました。
いつも静かに見守ってくれていた夫に異変が生じたのです。
聞き慣れない病名に、頭が真っ白になりました。
呑気に構えている場合ではありません。
夫との限られた時間は、待ってはくれないのです。
どんなに厳しい現実でも、受け入れなければなりません。
心を鎮め・・・運命に従おうと決めました。
人形の全てを封印することに、迷いはありませんでした。
当時の私を救ってくれた1冊の本があります。
【置かれた場所で咲きなさい】 渡辺和子著 (幻冬舎文庫)
本には次のような言葉が書かれてありました。
「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。」
「どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、
そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、
根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」
これらの言葉にどれほど助けられたことでしょう!
本のタイトル【置かれた場所で咲きなさい】は
私の【座右の銘】になっています。
夕鶴
6月5日 晴れ
<100㎝への挑戦>
ビスクドールに関してまだまだ経験値の浅い私には、越えるべき壁がたくさんありました。
1200度以上の高温で焼きしめるのですから
粘土では想像だにしなかったハプニングが次々に起こります。
その上、窯は購入したばかりで不慣れです。
それら一つひとつに納得がいくまで向き合い、自分で解決していくしかありません。
何しろ、いきなり全長100cmという無謀な挑戦なのです。
「歪み」「亀裂」・・・悪戦苦闘の連続でした。
少し話は逸れますが・・・
昔、のぼり窯で有名な信楽の工房で焼き物を教わったことがありました。
温度によって様々に変化する難しさを「偶然の産物」という言葉を使った私に対して
「偶然を必然にするのがプロなんやっ!!」
と陶工職人さんのひと言。
ハッと気付かされました。
専門知識を全く持たなかった私は、軽率な自分の言葉に己の無知を大いに恥、
以後、己を律する言葉として深く心に刻んだ記憶があります。
<偶然を必然に>
正に、この言葉を反芻しながら、100㎝のビスクドールに挑みました。
【夕鶴】 <全長100㎝のビスクドール>
箪笥の奥に大切に保管されていた母の花嫁衣裳を見た時
この着物を背景に人形を作りたいと強く思ったからです。
鶴が優雅に舞う美しい着物です。
それに負けないくらいの大きな人形【夕鶴】をどうしても作りたかったのです。
やっと・・・納得できる作品に仕上がりました。
そして・・・2009年
東京丸の内オアゾ、丸善本店4Fギャラリーでの「世界創作人形展」に出品しました。
初日に行われた海外作家との懇親会は、言葉の壁を越え、
人形を通して「想い」がひとつになった素晴らしい瞬間でした。
ビスクドールとの出会い
5月30日 曇り
2004年は粘土に出会ってちょうど20年目になり
節目として、東京と大阪で個展を開催しました。
その後、松屋銀座百貨店や丸の内丸善オアゾ等に出品する機会が増え
初めて出会う作家様との新しい繋がりもでき、楽しい輪がどんどん広がって行きました。
展示会を重ねる度に出会う素晴らしい作品は
私の創作意欲を刺激し、未知の世界へと誘ってくれました。
銀座百貨店での企画展に参加した時、目が釘付けになる程の素晴らしい作品に出会いました。
いえ、“出会ってしまった”と言って良いかも知れません。
吸い込まれる程の気品に満ちた美しいビスクドールでした。
大好きな大理石彫刻を思わせるような質感と
透き通るような肌色は長年夢に描いていたものでした。
作家名には【丸美鈴】と記されていました。
「作りたい!!」
「学びたい!!」
私にとってビスクドールは“未知の世界”でした。
何をどう作るのか、全くわかりません!!
が・・・“火”が付いてしまいました。
基礎をしっかり学ぶ為に今の自分に出来る最善の方策は?
熟慮を重ねた結果、期限付きで東京まで習いに行くと決めました。
個展でお世話になったギャラリーの方に紹介していただき
ビスクドール初心者のために本を出しておられた「本城光太郎」氏の元で
2005年から2006年の1年間、『ビスクのいろは』『徹底した基礎』を学び、
更に2007年、丸の内丸善オアゾの展示会で再び「丸美鈴」氏とお会いした折
直接お願いを申し出て、2008年までの1年間、ご自宅のお教室に通わせていただきました。
<まだまだ、若かったのですね~!!>
限られた短い期間ではありましたが、
素晴らしい先生方の元で集中して学ぶ事が出来たのは、本当に有難い事でした。
心から感謝とお礼を申し上げます。
<2008年制作 【少女】>
<頑張って通った甲斐がありました!!>
ゲスト作家&生徒有志とコラボ
5月23日 晴れ
同じく2003年、いつもの教室展とは一味違った趣向で
選抜生徒有志の5名グループ【A・SU・KA】と共に
大阪から遠く離れた長野県で展示会を開催しました。
周りを自然の山に囲まれた緑豊かな展示会場は
あたりの木立までもが趣深く風情があり
今まで経験したことのない、ゆったりとした緩やかな時間が流れていました。
畳敷きの落ち着いた雰囲気の中で
生徒には授業の成果を思う存分自由に制作発表してもらいました。
固定ポーズや衣装人形、球体関節人形、三つ折れ人形、縮緬貼り人形などなど・・・
彼女たちの作品もゆっくりとご高覧いただければ嬉しく存じます。
更に、創作人形でご活躍の人形作家「松浦加代子」氏にゲスト出展していただき
一層充実した展示会となりました。
趣のあるゆったりとした畳敷きの会場
生徒の力作が並びます。
芦高昭子さんの作品
石原利恵さんの作品
河合ちどりさんの作品
柴田和代さんの作品
吉井靖子さんの作品
【創作人形作家・松浦加代子氏の作品】<ゲスト出展>
ご出展いただきありがとうございました。