1月18日 晴れ
1月12日、哲学者で文化勲章受章者の梅原猛氏が93歳でお亡くなりになりました。
氏は独特の歴史観で日本文化を探求された方で、
特に聖徳太子と法隆寺の謎を見事に解き明かした「隠された十字架」は、当時大変話題になりました。
常識を覆す学説は衝撃的でした!一気にファンになり、講演も聞きに行きました。
丁度その頃、聖徳太子(厩戸皇子)を主人公にした、山岸涼子作「日出処の天子」が大ヒットしていて
厩戸の大ファンだった妹が「おもしろいよ~! 読む?」と言って持っている全巻を貸してくれました。
これもまた衝撃的でした!!
<はまりました・・・どっぷりと・・・厩戸に・・・!!>
その後、法隆寺には何度も何度も足を運びました。
聖徳太子とされる「救世観音」は春と秋、特別開扉されるのですが、
夢殿は薄暗く、あまりはっきり見ることが出来ませんでした。
ところが、ラッキーな事に、修理の為「救世観音」が夢殿から出るという機会に巡り合いました。
これは、布に巻かれた秘仏を夢殿から出したフェノロサ以来の事でした。
「救世観音」と「百済観音」2体並んで一般公開されました。
360度、全方向から間近に観ることができたのです。
その衝撃は今でも忘れることが出来ません。鳥肌が立ちました。
「救世観音」・・やはり体の後ろ半分が完全に欠落し空洞化され、光背は頭部に打ち付けられていたのです。
鬼気迫るその表情は「観音」ではなく「人」そのものでした!!
隣に立つ「百済観音」の流麗でしなやかな佇まいとは全く対照的でした。
梅原氏の学説に確信を得、まるで金縛りにあったかのように、その場から離れることができませんでした。
実際に、気が付けば4時間程、ずっとその場にいたのを覚えています。
~~「聖徳太子」<厩戸皇子>~~
その謎めいた存在に魅せられ、熱い思いを抱いていた時、粘土に出会いました。
そして、一気に<厩戸皇子>を作り上げました。
35年前の秋の事です。
「知の巨星」梅原猛氏の斬新な学説に影響を受けたひとりです。
本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。 合掌